No.22

ジュリエットは、父の申し出に驚き、とまどった。そして、次のような理由を挙げて結婚に反対した。いわく、まだ私は若く、結婚には不向きです。ティバルトが亡くなったばかりですし、その悲しみを思うと、喜んだ顔をして夫を迎えるわけにはいきません。それに、ティバルトの葬儀も済んだばかりなのに、キャピュレット家が婚礼をあげることはどんなに無作法に見えるかも分かりませんわ。

 ジュリエットは、あらゆる理由を挙げて結婚に反対した。ただ、本当に反対する理由、つまり、自分はすでに結婚していることだけは言わなかった。

 しかし、キャピュレット卿は、ジュリエットの言い逃れにはまったく耳をかさなかった。言い訳はきかぬ、次の木曜日にパリスと結婚するのだから準備しておくように、と命令した。卿は娘のために、金持ちで、若くて、上品で、ヴェロナのどんな気位の高い娘でも大喜びで承知するような夫を捜してやったので、内気を装って(ジュリエットが拒否するのを、卿はこうとった)娘が自ら幸運を避けるようなふるまいを我慢できなかった。

 進退きわまったジュリエットは、困ったときにいつも相談する、例の親切な修道士に頼った。修道士はジュリエットに、命がけの方策をする決心はあるかと尋ねた。ジュリエットの答えは、パリスと結婚するくらいなら、生きながら墓に入るつもりです、愛する夫が生きているのですから、というものだった。

 


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