No.95

「ちょっとどうしようもなさ過ぎるわ!」アリスはもうがまんできなくなって叫びました。「車輪のついた木馬にすればいいのよ、まったく!」

 「それってガタガタしないで進む?」と騎士は、ひどく興味を覚えたようにたずねます。そしてそう言いつつも、馬の首にあわてて抱きついて、かろうじてまた落っこちるのを防いだのでした。

 「ええ、生きた馬よりはずっと」とアリスは、必死でこらえながらもついつい笑い声をあげてしまいました。

 「一つ手に入れることにしよう」と騎士は、考えこんでつぶやきました。「一つか二つ――いくつか」

 その後、しばらく沈黙が続いて、それから騎士(ナイト)がまた続けます。「ぼくは発明にかけてはすごい腕のもちぬしなんだ。で、気がついたと思うけれど、さっき引っ張り上げてくれたとき、ぼく、ちょっと考え深そうな様子をしてただろ?」

 「そういえばちょっと重々しかった」とアリス。

 「うん、ちょうど門を乗り越える新しい方法を発明してるところだったわけ――聴きたい?」

 「ええ、ぜひぜひ」アリスはとても礼儀正しいのです。

 「どうして思いついたか話してあげよう。つまりね、こう考えたわけ:『むずかしいのは足だけだ。 頭は もうじゅうぶん高いところにあるから』。だから、まず頭を門のてっぺんにのっける――それからさかだちをする――すると、足もじゅうぶんに高くなるよね――そしたら門を越えられたことになる」

 「ええ、それができたら、越えたことになるでしょうねえ」アリスは考えこんで申しました。「でもそれって、ちょっとむずかしいと思いません?」

 騎士は重々しく答えます。「まだ試してないから、確実なことは言えないけど――でも確かに、ちょっとはむずかしいかもしれないねえ」

 騎士はそれを考えてずいぶんいらだっているようだったので、アリスはあわてて話をそらしました。「すごく変わったかぶとですねえ! これもご自身の発明なんですかぁ?」と明るくたずねます。

 


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