No.78

「先にいけばやさしくなる」とハンプティ・ダンプティは答えます。

「ぼくはもう一度書き送り曰く
『言うとおりにするのが身のためよ』

魚たちはにやりと答え
「ずいぶんご機嫌ななめですねぇ!」

一回言ったが、二回言ったが
聞く耳もたぬが魚(うお)の性(さが)

ぼくはピカピカやかんをとった
目下の仕事にぴったりだった

[イラスト: 伝令の耳元でどなる]

胸はどきどき心ははずみ
自慢のやかんを満たすは泉(いずみ)

そこへだれかがやってくると
「小魚たちは寝ちゃったよ」と

ぼくはそいつにはっきり告げた
「だったらも一度起こしてきてよ」

これは大きくはっきり告げた
耳元間近でどなってやった」

  ハンプティ・ダンプティはこのくだりを暗唱するとき、ほとんど金切り声になりましたので、アリスは身震いしました。「あたし、その伝令さんには ぜったいに なりたくないわ!」

「でもそいつはがんこで高慢で
曰く『そんな怒鳴らなくてもよろしいので!』

そしてそいつはがんこで高慢で
曰く『起こしてもいいが、まず――』

 


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