No.77

「冬に野原が白い頃
きみのためにこの歌をうたおう――

 と言っても、ホントにうたうわけじゃないけど」とハンプティ・ダンプティは説明で付け加えました。

 「そうお見受けします」とアリス。

 「わたしがうたってるかどうか 見たり できるって、ずいぶんといい目をしてるようだねえ」ハンプティ・ダンプティがきつい口調で言います。アリスはだまりました。

「春に森が萌える頃
なんとか意味を説明しよう」

 「ありがとうございます」とアリス。

「夏に日が長くなる頃
きみにもこの歌がわかるかも:

 葉のしおれる秋の頃
ペンとインキで書き留めて」

 「はい、そんなに長いことおぼえてられたらだけど」とアリス。

 「いちいちそうやって口をはさまんでよろしい。はさんでもしょうがないし、わたしも気が散るではないの」とハンプティ・ダンプティ。

「ぼくは魚に手紙をだした
『ぼくの望みはこれだ』と言った。

海の小さな魚たち
ぼくに答を書き送り

小さな魚たちの答とは
『遺憾ながらできかねます、それは――』」

 「なんかよくわかんないんですけど」とアリス。


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