[イラスト: ヒツジのお店] 「なにを買いたいんだね?」やっとヒツジが、編み物の手をちょっと止めて目をあげながら言いました。 「まだ よくは わからないんだけれど。ぐるっと見てまわりたいんですけど、いいですか?」とアリス。 「自分の前を見るのも、左右を見るのも、お好きなように。でも ぐるっと 見るのは無理だよ――頭のうしろにも目がついてるんでなけりゃね!」とヒツジ。 でも、残念ながらアリスには、そういうものはついて いませんでした 。そこでアリスはふりかえって、それぞれの棚の前にきたときに、それをながめるだけで満足しました。 お店はいろいろ変わったものだらけのようでした――でもいちばん変てこだったのは、どのたなも、いっしょうけんめい見つめて何がのっかっているのか調べようとすると、そのたなだけにはまるで何もなくなってしまうということでした。そのまわりのたなは、思いっきりいっぱい、のるだけ詰めこまれているのに。 「ここじゃ何もかも、まるでじっとしてないのね!」アリスはついに、憤然と申しました。一分かそこら、ときに人形みたいに見えて、特に道具箱みたいに見える、おっきな明るい色の物体を追いかけようとしていたのですが、それはいつも、アリスが見ている一つ上のたなにあるのです。「なかでもこれはいちばん頭にくるわ――でも、そうだ、こうすればいいんだ――」と急に思いついてアリスはつけ加えました。「いちばんてっぺんのたなまで、この調子でおっかけてけばいいのよ。さすがに天井を通り抜けるのはまごつくはずだわよね!」
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