鏡の国のおうちに住んでみたい? あっちだとミルクがもらえるかしらね。鏡の 国のミルクはあんまりおいしくないかも――でも、あら! ちょうど廊下のとこま でやってきましたよ。鏡の国のおうちでは、ほんのちょっとだけ廊下をのぞけるの よね、書斎のドアを思いっきり開いておくと。それで、見えるはんいではこっちの 廊下とそっくりなんだけど、でもその向こうはぜんぜんちがうかも。鏡の国のおう ちのほうに、ぬけられたらホントに楽しいでしょうね、子ネコちゃん! ねえ? もうぜったいに、すごくきれいなものがあると思うんだ! なんか通り抜ける道があるつもりになりましょうよ。ね、子ネコちゃん。鏡がガ ーゼみたいにふわふわになったつもりになって、通り抜けられることにしましょ う。あらやだ、なんだか霧みたいなものになってきてるじゃない! これなら簡単 に通り抜けられるわ――」こう言うアリスは暖炉の上にあがっていたのですが、自 分でもどうやってそこまであがったのか、よくわかりませんでした。そして確か に、鏡は本当に溶けだしていて、明るい銀色っぽい霧のようでした。 次のしゅんかん、アリスは鏡を通りぬけて、ピョンッと鏡の国の部屋に飛びおり ていました。まっ先にやったのは、暖炉に火が入っているかを確かめることでし た。そして、本物の火が、後にしてきた部屋と同じくらい明るく輝いているのを見 て、アリスはとてもうれしく思いました。「これで前の部屋と同じくらいあったか でいられるわね。いえ、もっとあったかくいられるわ、だってここではだれも、火 に近寄りすぎてるって叱る人はいないし。みんなが鏡ごしにこっちにいるあたしを 見て、でもだれも捕まえられないの。楽しいだろうな!」
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