が、子ネコ相手のアリスの話からちょっと脱線しましたね。「ごっこ遊びをしま しょう! あなたが赤の女王さまよ、子ネコちゃん! 知ってる? あなたがちゃ んと起きあがって腕組みしたら、赤の女王さまそっくりになると思うのよ。さ、や ってごらんなさいな、いい子だから!」そしてアリスはテーブルから赤の女王をと って、子ネコの前に見本として置きました。でも、うまくいきません。アリスに言 わせると、それは子ネコがちゃんと腕組みしないからだそうです。そこで罰とし て、アリスはネコを鏡の前に持ち上げて、そのむくれぶりを自分で見られるように してやりました――「そしておまえがすぐにいい子にならなかったら、向こうの鏡 の国のおうちに入れちゃうぞ。それでもいいの? どう? さて、あなたがちゃんと 聴いてるならね、子ネコちゃん、そしておしゃべりしないでいられたら、鏡のおう ちについてのあたしの考えを、ぜーんぶ話してあげますからねー。まず鏡ごしに見 えるお部屋があるでしょ――あれはうちの書斎とまるっきり同じだけど、でもなん でも逆になってるのね。いすに登ったら、全部見えるのよ――ただし暖炉の向こう のとこ以外はだけど。あーあ、そこんとこも見られたらいいのになぁ! 向こうに も冬には火が入ってるのか、すっごく知りたいの。だってぜったいにわかんないん ですもん、ただしこっちの火が煙をたてたら、向こうの部屋でも煙があがるけど― ―でもそれって、ふりをしてるだけかもしれないでしょ、火があるように見せかけ てるだけで。それとね、本はこっちの本と似てるけど、でもことばが逆向きになっ てるの。知ってるんだ。だって、本を一冊鏡に向けてみたら、向こうでも一冊こっ ちに向けるんだもん。 [イラスト: 鏡に入って……]
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