プリンの声は、ねばっこい、脂肪っぽい感じの声で、アリスは返すことばもありませんでした。ただすわってそれをながめ、息をのむばかり。 「なんとか申すがよいぞ。プリンばかりにしゃべらせておくなど、とんでもないことじゃ!」と赤の女王さま。 「そうですね、今日はすごくたくさん詩を暗唱してもらったんですよ」とアリスが言い始めたとたんに、、みんな死んだようにしーんとしずまりかえって、いっせいにこちらを見つめるので、アリスはちょっとこわくなってしまいました。「そして、すごくおもしろかったんですけど――どの詩も、なにかしらお魚と関係があったんです。なぜここではみんな、そんなにお魚が好きなのかご存じですか?」 訳注:欧米では、貝も魚の一種と考えていることに注意。だから『セイウチと大工』の詩も、魚関連なのだ。 アリスはこれを赤の女王さまに向かってきいたのですが、その答えは、ちょっと見当はずれなものでした。女王さま、とてもゆっくりと重々しく、アリスの耳に口を寄せて申します。「魚といえば、白の女王陛下はすばらしいなぞなぞをご存じなのじゃ――それもぜんぶが詩になっておる――しかもぜんぶ魚のこと。暗唱していただこうかの?」 「赤の女王陛下、それをおっしゃってくださるとはなんとご親切な」と白の女王さまは、アリスの反対側の耳にぶつぶつと申します。その声は、まるで鳩の鳴き声みたいでした。「実にすばらしいもてなしでございますわ! よろしいでしょうか?」 「ぜひに」とアリスはとても礼儀正しく申します。 白の女王さまはうれしそうに笑って、アリスのほっぺたをなでます。そして始めました: 「『まずは魚をつかまえなければ』 『さあ魚を料理して!』 『持っておいで、食べるから!』 ふたは糊づけみたいにしっかりくっつき――
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