アリスは自分の服を見おろして、ちょっと考えてから口をひらきました。「洗剤、だと思うけど。『透明感あふれる白さです』って」 「海のそこのせんたくは、スケソウダラがやんの。『きれいすぎて、すけそうダラ(だわ)!』ってね。これで一つ、かしこくなったろう」 「でもどこでかわかすの?」アリスはすごく不思議におもってききました。 「たたみいわしの上だよう、きまってるじゃん。そこらのエビでもそんくらいは知ってるぜ」グリフォンはいささかあきれたようです。 アリスはまださっきの歌のことを考えてました。「あたしがスケソウダラなら、ヤリイカにこう言ったと思うな。『下がってくれませんか? あなたにはついてきてほしくありませんの!』」 「うんたしかにヤリイカなんかぜったいにつれてかないわよねぇ」とにせウミガメ。「まともなさかななら、ヤリイカとつきあったりはしないもの」 「あら、そういうものなの?」アリスはとってもおどろいていいました。 「あたりまえだよ。もしぼくがおでかけするときに、どっかのさかながきて『おでかけですか』なんてきいたら、ぼく言っちゃうよ。『うるせーな、ヤリィカ!』って!(訳注:うるさいうるさい、苦しいのはわかってるんでぃ!)」 「……それって『わりぃか』ってこと?」とアリス。 「ぼくがそうだと言ったらそうなのよ」とにせウミガメは、ちょっとむっとした口ぶりで言いました。そしてグリフォンがつづけます。「さあ、あんたの冒険をちょっときかせてもらおうじゃないの」 「あたしの冒険っていうと――けさからのなら話してあげられるけど」アリスはちょっとおずおずと言いました。「でもきのうまでもどってもしかたないわ、だってそのころはあたし、別の人だったから」 「いまの、なんのこったか説明しなさい」とにせウミガメ。 グリフォンがうずうずして言います。「だめだめ、冒険が先。説明ってのは、ありゃえらく時間がかかるんだ」
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