No.92

 「どうもありがとう、見ててとってもおもしろいおどりでした」アリスはそれがやっと終わってくれて、じつにホッとしました。「それにあの、スケソウダラのふうがわりな歌も、すごく気に入りました!」

 「ああ、スケソウダラといえば、もちろん見たことあるのよねぇ」とにせウミガメ。

 「ええ、しょっちゅう出てくるもの、ばんご――」アリスはあわてて口を閉じました。

 「バンゴってどこだか知らないけど、そんなによく見かけてるなら、どんなかっこうかも知ってるわよねぇ」とにせウミガメ。

 「ええたぶん。しっぽを口にくわえてて――それでパン粉まみれ」アリスは考えこんでいいました。

 「パン粉はちがうわぁ。パン粉は海で洗い流されちゃうでしょ。でもたしかに、しっぽは口にくわえてるよね。なぜかというと――」ここでにせウミガメはあくびをして目をとじた。――「この子に理由とか、説明してやんなさいよぅ」とグリフォンをせっつきます。

 「理由はだねえ、やつら、ロブスターとホントにおどりにいくんよ。それで海にほうりなげられるだろ。だからずいぶん落っこちるわけね。それでもうしっぽをまいちゃうわけ。するとそれが口に入る。するともう、それが出てこなくなる。おしまい」

 「ありがと。それはおもしろいわね。スケソウダラのこと、こんなにはじめて知ったわ」

 グリフォンが言いました。「じゃあもっと話してやろうか。なんでスケソウダラっていうか知ってる?」

 「考えたことない。どうしてなの?」とアリス。

 「せんたくするんだよぉ」とグリフォンは、とってもおもおもしい返事をします。

 アリスはまるっきりわけがわかりません。「おせんたく、をする!」と不思議そうにくりかえすばかり。

 「しょうがねえなあ、じゃああんたの服はどうあらうの? どうやってそんな、まっ白きれいになるの?」


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