アリスはせんすと手ぶくろをひろって、ろうかがとても暑かったので、せんすであおぎながらしゃべり続けました。「あらまあ、きょうはなにもかもふうがわり! きのうは、ほんとにいつもどおりだったのに。あたし、夜のあいだに変わっちゃったのかしら。そうねえ。起きたときには、おんなじだったっけ? なんだかちょっと変わった気分だったような気もするみたい。でも、おんなじじゃないんなら、つぎの質問は、いまのあたしはいったいぜんたいだれ? それがかんじんななぞだわ!」そしてアリスは、おないどしの子たちを思いうかべていって、そのなかのだれかにかわってしまったかどうかを考えてみました。 「エイダじゃないのは確かだわ。エイダのかみの毛は、とっても長い巻き毛になるけど、あたしのかみはぜんぜん巻き毛にならないもの。それとぜったいにメイベルじゃないはず。だってあたしはいろんなことを知ってるけど、メイベルときたら、まあ! もうなんにも知らないでしょう! それに、あの子はあの子だし、あたしはあたしだし、それに――あれ、わかんなくなってきちゃった!まえに知ってたことをちゃんと知ってるか、ためしてみよう。えーと、四五の十二で、四六の十三で、四七が――あれ、これじゃいつまでたっても二十にならないぞ! でも、かけ算の九九はだいじじゃないわ。地理をためしてみよう。ロンドンはパリの首都で、パリはローマの首都で、ローマは――ぜんぜんちがうな、ぜったい。じゃあメイベルになっちゃったのね! 『えらい小さな――』を暗唱してみよう」そしてアリスは、授業でするみたいにひざの上で手を組んで、暗唱をはじめましたが、声がしゃがれて変てこで、ことばもなんだか前とはちがっていました:―― |