No.17

 ちょうどそのとき、頭がろうかの天井にぶつかりました。もうそのとき、アリスは身長三メートルになっていたので、すぐに小さな金色の鍵を手にとって、お庭へのとびらへといそぎました。

 かわいそうなアリス! できることといったら、ねそべって片目でお庭をのぞくことだけでせいいっぱい。でも、とおりぬけるなんてまったく絶望的。アリスはまたすわって泣き出しました。

 「はじを知りなさい」とアリスは言いました。「そんなおっきななりをして」(まあたしかにそのとおり)「いつまでも泣いてばかり。いますぐやめなさい、いいわね!」でもアリスは、それでもかまわず泣きつづけて涙を何リットルも流したので、まわりじゅうにおおきな池ができてしまいました。深さ10センチくらいで、ろうかの半ばまでつづいています。

 しばらくすると、遠くからピタピタという小さな足音が聞こえたので、あわてて涙をふいて、なにがきているのかを見ようとしました。あのうさぎが、りっぱな服にきがえてもどってくるところで、片手には白い子ヤギ皮の手ぶくろ、そしてもう片方の手にはおっきなせんすを持っていました。とってもいそいで走っていて、こっちにきながらも「ああ、公爵夫人が、公爵夫人が! 待たせたりしたら、なさけようしゃなんかありゃしない!」とつぶやいています。アリスのほうは、もうせっぱつまっていて、だれでもいいから助けてほしい気分。そこでうさぎが近くにきたときに、小さなおちついた声でこうきりだしました。「あの、おねがいですから――」うさぎは、うっひゃあととびあがって、子ヤギ皮の手ぶくろとせんすを落としてしまい、全速力(ぜんそくりょく)で暗闇(くらやみ)の中へとかけ去っていってしまいました。

 


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