No.103

 「キラキラがキではじまっておるのはとうぜんであろうが!」と王さまはきびしく申しわたします。「わしをそこまでうつけ者と思うか! つづけよ!」

 「あっしぁ貧しいもんでして」と帽子屋さんはつづけます。「でもって、それからはなんでもキラキラで――でも三月うさぎが言いますに――」

 「言ってない!」と三月うさぎがあわててわりこみます。

 「言った!」と帽子屋さん。

 「否認します!」と三月うさぎ。

 「否認しておる。その部分は除外するように」と王さま。

 「まあとにかく、ヤマネが言いまして――」と帽子屋さんはつづけてから、不安そうに首をまわして、ヤマネも否認するかどうか心配そうにながめました。が、ヤマネはぐっすりねむっていたので、なにも否認しませんでした。

 「それから、あっしはもっとバターパンを切って――」と帽子屋さん。

 「でもヤマネはいったいなんと言ったんですか?」と陪審の一人がききました。

 「それは思い出せません」と帽子屋さん。

 「なんとしても思いだすのじゃ。さもないと処刑するぞ」と王さま。

 みじめな帽子屋さんは、お茶わんとバターパンをおとして、片ひざをついちゃいました。「あっしは貧しいんです、国王陛下」と帽子屋さんは口を開きます。

 「はつげんのなかみは、たしかに貧しいな」と王さま。

 ここでモルモットが一匹、かんせいをあげて、すぐに廷吏(ていり)に鎮圧(ちんあつ)されました。(これはちょっとむずかしいことばなので、どういうふうにやったか説明しようね。おっきなずだぶくろがあって、口にひもがついていてしばれるようになってるんだけど、モルモットはそこに頭からおしこまれて、そしてみんなでその上にすわっちゃうんだ)。


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