No.22
「どんなご用でございます。」と、言うのです。アラジンは大そうよろこびました。そして、
「お姫さまと、御殿を、すぐにとり返して来てくれ、そして私の命を助けてくれ。」
と、たのみました。ところが、指輪の家来は、
「それは、あいにく、私にはできないことでございます。ただ、ランプの家来だけが、御殿をとりもどす力を持っているのでございます。」と、答えたのであります。
「それでは、御殿があるところまで私をつれて行ってくれ。そして、お姫さまのへやのまどの下へ立たせてくれ。」
アラジンは仕方がないので、こうたのみました。この言葉を、言いきってしまわないうちに、もうアラジンはアフリカについて、御殿のまどの下に立っていました。
アラジンは大へんくたびれていたものですから、そこでぐっすり 寝 ( ね ) こんでしまいました。しかし、ほどなく夜があけて、小鳥の鳴く声で目をさましました。その時は、もうすっかり、もとのような元気になっていました。そして、こんな悲しい目にあうのは、きっとまほうのランプがなくなったせいにちがいない、だれがぬすんだかを見とどけなければならぬ、と、かたく 決心 ( けっしん ) しました。
さて、お姫さまは、この朝は、ここへつれて来られてからはじめて、きげんよくお目ざめになったのでした。 太陽 ( たいよう ) はうらうらとかがやいて、小鳥は楽しそうにさえずっていました。お姫さまは、外の 景色 ( けしき ) でもながめようと思って、まどの方へ歩いておいでになりました。そして、まどの下にだれか立っている者があるのを、ごらんになりました。よくよく見ると、それはアラジンでありました。
お姫さまは声を立てておよろこびになって、いそいで、まどをお開きになりました。この音でアラジンは、ふっと上を見上げたのであります。
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