No.21
アラジンは、どうしてこんな目におあわせになったのかと、王さまにおたずねしました。王さまは、
「かわいそうに、何にも知らないのか。まあここへ来てごらん。」と、おおせになりました。
そしてアラジンをまどのところへつれて来て、アラジンの御殿が立っていたところが原っぱになっているのを、指さして教えておやりになりました。
「お前の御殿はともかく、姫はどこへ行ったのだろう。わしのだいじなだいじな娘はどこへ行ったのだろう。」と言って、王さまはお泣きになりました。
アラジンはおどろきのあまり、しばらくは口がきけませんでした。どこへ御殿が行ってしまったのだろうかと、原っぱを見つめたまんま、だまって、ぼんやり立っていました。
しかし、しばらくして、やっと口をきりました。
「陛下、どうか私に 一月 ( ひとつき ) のおひまをくださいませ。そして、もしもその間に私がお姫さまをつれもどすことができませんでしたならば、その時、私をお殺しになってくださいませ。」
と、申し上げたのであります。
王さまはおゆるしになりました。アラジンはそれから三日の間は、気ちがいのようになって、御殿はどこへ行ったのでしょうか、とあう人ごとにたずねてみました。けれども、だれも知りませんでした。かえって、アラジンが悲しんでいるのを笑ったりしました。それでアラジンは、いっそ身を投げて死のうと思って、川のほとりへ行きました。そして、 土手 ( どて ) にひざまずいて、死ぬ前のおいのりをしようとして、両手をしっかりとにぎりあわせました。その時、知らずにまほうの 指輪 ( ゆびわ ) をこすったのでした。するとたちまち、指輪のおばけが目の前につっ立ちました。
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