No.23
それから、アラジンは、いくつもいくつもの戸をうまく通りぬけて、お姫さまのへやへ入って行きました。そして、うれしさのあまり、お姫さまをしばらくだきしめていましたが、やがて顔を上げて、
「お姫さま、あの大広間のすみのかべにかけてあった、古いランプがどうなったか、ご存じではございませんか。」と、申しました。
するとお姫さまは、
「ああ、だんなさま、私どうしましょう。私がうっかりしていたので、こんな悲しいことになってしまったんです。」と言って、あのおじいさんのまほう使が、商人の風をして来て、新しいランプと古いランプととりかえてあげると言って、こんなことをしてしまったお話をなさいました。そして、
「今も持っていますよ。いつだって、 上着 ( うわぎ ) の中へかくして、持ち歩いていますよ。」と、おっしゃいました。
「お姫さま、私はそのランプをとり返さなきゃなりません。ですから、あなたもどうか私にかせいしてくださいませ。今晩、まほう使があなたとご一しょに、ごはんをたべる時、あなたは一番いい着物を着て、そしてしんせつそうなふうをして、おせじを言ってやってくださいまし。それから、アフリカのお 酒 ( さけ ) が少し飲みたいとおっしゃいませ。するとあの男が、それをとりに行きますからね。その時が来たら、私がまたあなたのおそばへ行って、こうこうしてくださいませ、と申し上げますから。」
と、アラジンが申しました。
さてその晩、お姫さまは一番いい着物をお召しになりました。そして、まほう使が入って来た時、にこにこして、いかにもしんせうそうなふうをなさいました。まほう使が、これはゆめではないかと思ったほどでした。なぜかというと、お姫さまは、ここへつれて来られてからというものは、いつもいつも悲しそうな顔をしているか、そうでない時は、おこった顔をしていらっしゃるかでしたから。
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