No.20
それからまほう使は、少し歩いて、町はずれへ出ました。そして、だれも通っている人がないのを見すまして、まほうのランプをとり出しました。そしてしずかにこすりました。するとたちまち、あのおばけが、目の前へ立ちはだかって、「何のご用ですか。」と聞きました。
「お姫さまを入れたまんま、アラジンの御殿を、アフリカのさびしいところへ持って行って立ててくれ。」と、まほう使が言いました。
すると、またたくまにアラジンの御殿は、お姫さまや、家来たちを入れたまんま、見えなくなってしまいました。まもなく、王さまが、お城のまどから外をおながめになって、アラジンの御殿がなくなっているのにお気づきになりました。
「しまった。アラジンはまほう使だったのだな。」
王さまはこうおっしゃって、すぐに家来を召して、アラジンをくさりでしばってつれて来い、とお命じになりました。家来たちは、 かり から帰って来るアラジンに行きあいましたので、すぐにつかまえて、王さまの前へつれて来ました。町の人々は、アラジンになついていたものですから、アラジンが引かれて行くそばへよって来て、どうか、ひどい目にあわないようにと、おいのりをしてくれました。
王さまはアラジンをごらんになって、大へんおしかりになりました。そして家来に、すぐアラジンの首を切れとおっしゃいました。けれども、町の人たちがお城へおしかけて来て、そんなことをなすったら、しょうちしません、と行って王さまをおどかしました。それで仕方なく王さまは、アラジンのくさりをといておやりになりました。
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