No.13
たちまちおばけは御殿へ行って、二人をつれて帰って来ました。そしてこんどは、
「大臣の息子をこの家からつれ出して、朝まで外で待たしておけ。」と、 命令 ( めいれい ) しました。
お姫さまはこわがって、ふるえていました。けれども、アラジンは、けっしてこわがらないでください、私こそはあなたのほんとうのおむこさんなのでございます、と申し上げました。
あくる朝早く、アラジンの言いつけた通りに、おばけは、大臣の息子をつれて家の中へ入って来ました。そして、お姫さまと一しょにお城へつれて帰りました。
それからまもなく王さまが、
「お早う。」と言って、お姫さまのおへやへ入っていらっしゃいますと、お姫さまは涙をぽろぽろこぼして泣いていらっしゃいました。そして大臣の息子は、ぶるぶるふるえていました。
「どうしたのかね。」と、王さまがおたずねになりました。けれども、お姫さまは泣いていて、何にもおっしゃいませんでした。
その晩もまた、同じようにアラジンはおばけに言いつけて、二人をつれて来させました。そしてもう一度、大臣の息子を家の外に立たせておきました。
次の日もやはり、お姫さまが泣いていらっしゃるのを見て、王さまは大そうおおこりになりました。そして、お姫さまが何を聞いても、やっぱりだまっていらっしゃるので、なおなおおこっておしまいになりました。
「泣くのをおやめ、そして早くわけをお話し。話さないと殺してしまうよ。」と、おしかりになりました。
それで、やっとお姫さまは、おとといの晩からの出来事を、すっかりお話しになりました。大臣の息子はふるえながら、どうぞおむこさんになるのをやめさせてくださいまし、とお願いしました。もうもう一晩だって、あんな目にあうのは、いやだと思ったものですから。
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