No.12

王さまもおおどろきになりました。そして大臣を別のへやへお呼びになって、
「あんなすばらしいささげ物をすることができる男なら、姫をやってもいいと思うが、どうだろうな。」と、ご 相談 ( そうだん ) なさいました。
  ところが大臣は、ずっと前から、お姫さまを自分の息子のおよめさんにしたいと思っていたものですから、
「そんなにいそいで約束をあそばないで、もう 三月 ( みつき ) ほど、待たせなさいまし。」
と、申し上げました。王さまも、なるほどそうだとお思いになりました。それで、アラジンのお母さんに、もう三月待ったら、姫をやろう、とおっしゃいました。
  アラジンは、お姫さまがいただけると聞いて、自分くらい仕合せ者はないと思いました。それからは、一日々々が矢のように早くすぎてゆきました。ところが、それから二月もすぎたある夕方、町じゅうが大そうにぎやかなことがありました。アラジンは何事かと思って人にたずねました。するとその人は、今晩、お姫さまが、大臣の息子のところへおよめにいらっしゃるからだ、と教えてくれました。
  アラジンはまっ 赤 ( か ) になっておこりました。そしてすぐ家へ帰って、まほうのランプをとり出してこすりました。すると、じきにあのおばけが出て来て、何をいたしましょうかと聞きました。
「王さまのお城へ行って、お姫さまと、大臣の息子をすぐつれて来い。」と、言いつけました。


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