No.106

あとがき( 2001 年6月 18 日)

ジョン・ F ・ケネディで始めた大統領就任演説の翻訳を、一転して W ・ブッシュからさかのぼって、リンドン・ジョンソンで終えるにあたって、いくつか気づいたことを列挙しておきましょう。いやいや、読んでもらえればすぐにでもわかることなんだけど、ちょっと訳で工夫した点を挙げておくのは時間の節約にもなるし。

まず I ではなく We の多用。日本語では「われわれ」と訳しているが、常に全員の参加をよびかけ、団結を強くよびかける内容(歴史的な経緯があるが)になっていることがわかる。 We は日本語にしにくく、普通にはなかなか出てこない言葉。演説でならという向きには、比較的国民の立場に立っていると思われている小泉首相の所信表明演説をみてほしい。「我々」が3箇所でてくるだけだ。 W ・ブッシュ大統領の演説と比べても明らかに異なることがわかるでしょう。

また、ここに挙がっている最近の大統領の就任演説は、きわめて英語的にも易しく書かれており(それにもかかわらず誤訳があると思われる、指摘ください)、向こうでは中学生程度を対象にしているのではないだろうか? 特に初期の大統領演説、リンカーンなどの内容と比べると、使われる論理などにおいても意識的に容易なものを選んで、誰にでもわかりやすいものを目指していることがうかがえる。

とにかくざっとアメリカの現代歴史のおさらいをするのに、特にJ・F・ケネディあたりの演説は教養の範囲内だと思われるし、いい読み物ではないでしょうか?

なお青空文庫( http://www.aozora.gr.jp/ )富田さんから数多くの指摘をいただきました、ありがとうございます。


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