【訳者あとがき】 まずはじめに、翻訳に関して竹内さん (http://www.asahi-net.or.jp/~RI2T-TKUC/index.html)、木邑(きむら)さん、katoktさん(http://www.bekkoame.ne.jp/~katokt/)、yomoyomoさん(http://www1.neweb.ne.jp/wa/yamdas/index.html)に指摘を頂いたことを感謝します。
この作品も、シェイクスピア物語の一遍として執筆されたものです。作者によって「若き人々のための」と銘打たれただけあって、原作にある冗長さをカットし、わかりやすく仕上がっています。もちろん、冗長さの中にあった言葉遊びなどもカットされていますが。 この物語は、若い2人が(ジュリエットは8月1日をもって満 14歳になる、と原作にあがっています)あったとたんに一目惚れして愛しあうというのを縦軸に、すべてを超越する力によって人生が否応なく流されていくさまを見せることをもって横軸とした物語となっています。シェイクスピアは、2人の愛は純粋であり、狂っており、端から見たら滑稽である(これはチャールズ・ラムによってだいぶ削られている)ことを何度も描いていきます。それなら、愛の軌跡を描くのかと思いきや、実は人生が移ろいゆくことを描きたかったかのように、悲劇が次々と2人のところに舞い降りてくるのです。愛の喜劇的真剣さ、そして人生の偉大さを伝えたこの物語を、小説として楽しんでいただきたかったので、「ロミオとジュリエット」をプロジェクト杉田玄白(http://www.genpaku.org/)に登録することにしたのです。 この物語の英文は、非常に読みづらいです。1つの文が長く、1つの段落が異常に長いのです。たとえば、原文ではキャピュレット卿が開いた宴会のシーンは1つの段落なのです。まるで、煩雑な計算式を解いている気分になってしまいました。こんな物語を訳そうなんて、まさに私だけでしょうね。
劇のシナリオを書き慣れている方、ぜひ、シェイクスピアの台本を訳して、プロジェクト杉田玄白に登録して下さい。私には荷が重すぎます。それに私は、「あらし」と「お気に召すまま」を訳さないといけないので。
2000.10.23
|