No.18

若いジュリエットにとって悲しい知らせだった。彼女は花嫁たること数時間にすぎず、今やこの命令によって永久に離婚と決定したかに見えた。この知らせが彼女のもとに届いたとき、ジュリエットははじめ、彼女の愛するいとこを殺したロミオに対して、無性に腹が立った。彼女はロミオを、美しい暴君とか、天使のような悪魔とか、強欲な鳩とか、羊の皮をかぶった狼とか、花の顔をした蛇の心、そのほかいろいろな矛盾した名前で呼んだ。それは、ジュリエットの心の中で、ロミオへの愛と恨みが戦っているさまを表していた。しかし、結局愛が勝利をおさめた。ロミオが自分のいとこを殺した悲しみによる涙は、ティバルトに殺されたかもしれなかった自分の夫が生きていたのを喜ぶ涙に変わった。やがて、さらに別の涙がやってきた。それはロミオの追放をなげく涙であった。そのことは、ジュリエットにとってはティバルトが何人死ぬよりもずっとつらいことだった。

 ロミオはけんかのあと、修道士ロレンスの庵に逃れた。そこで初めて公爵の宣告を知らされた。ロミオにとってその内容は死よりもむごい内容だった。ロミオにとって、ヴェロナの城壁の外に世界は存在せず、ジュリエットのいない生活など考えられなかった。天国はジュリエットの住むところにあり、そこ以外はすべて煉獄《れんごく》であり、責め苦であり、地獄であった。


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