No.17

 キャピュレット夫人は、近親であったティバルトを失った悲しみから、どこまでも報復しようとして、ティバルトを殺したロミオに対して極刑をもって臨むよう、また、ベンヴォリオの申し立てを考慮しないように申し出た。ベンヴォリオはロミオの友人であり、つまり、モンタギュー家の者であり、身びいきして話している、と言うのだった。したがって、キャピュレット夫人は義理の息子に不利になるような嘆願をしていたわけである。ただし彼女は、ロミオが自分の義理の息子であり、ジュリエットの夫であるということはまだ知らなかったのである。

 一方、モンタギュー夫人は我が子の命乞いをしていた。夫人は、ロミオがティバルトの命を取ったことを罰する必要はない、なぜなら、ティバルトはマーキューシオを殺しているので、すでに法律によって保護する必要がなくなっているのだからと、いくぶん理にかなったことを言ったのである。

 公爵は、夫人たちの感情的な申し立てには重きをおかず、事実を慎重に検討して宣告をくだした。その宣告は、ロミオをヴェロナから追放する、というものだった。

 


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