「問題は、ことばにそんないろいろちがった意味を持たせられるかってことよ」とアリス。 「問題は、どっちがご主人さまかってことだ――単にそれだけの話」とハンプティ・ダンプティ。 アリスはわけがわからず、何も言えませんでしたので、しばらくしてからハンプティ・ダンプティがまた口を開きました。「まあ中には気むずかしいことばもあってね――特に動詞は、これがえらく気位が高い――形容詞はどうにでもなるけれど、動詞はそうはいかん――でも このわたし なら、全部まとめてめんどう見切れる! 不可侵性! わたしに言わせりゃ 、つまりはそういうこった!」 「もうしわけないですけど、それってどういう意味ですか?」とアリス。 「やっとまともな子らしい口をきくようになったな!」ハンプティ・ダンプティはずいぶん機嫌がなおったようです。「『不可侵性』でわたしが意味しようとしたのは、この話はいい加減もうたくさんで、 あんただって残り一生ここに止まってるつもりじゃなかろうし、次にどうするつもりかそろそろ述べたほうがいいぞ、ということだな」 「ことば一つに、ずいぶんたくさんの意味を持たせるんですねえ」とアリスは考え込んでいいました。 「ことばにいまくらいたくさん仕事をさせるときには、給料もよけいに払うんだよ」とハンプティ・ダンプティ。 「まあ」アリスはわけがわからず、ほかに何も言えませんでした。 「まったく、土曜の晩にことばが群がってくるところを見せたいよ。給料を受け取りにくるわけでしてね」とハンプティ・ダンプティは、頭を左右にえらそうにふってみせます。 (アリスはハンプティ・ダンプティが何で給料を支払ったのか、きく勇気がもてなかったんだ。そういうわけで、ぼくも きみに 説明できないんだよ。) 「ことばの説明がとってもお上手みたいですね。よろしければ、『 ジャバーウォッキー 』という詩の意味を教えていただけませんでしょうか?」 「聞こうではないの」とハンプティ・ダンプティ。「わたしはこれまで発明された詩ならすべて説明できる――そしていまだ発明されてない詩もかなり」
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