(歳のはなしはもういい加減たくさんだと思ったのです。そして話題を順番に選ぶというのがほんとうなら、こんどは自分の番だ、とアリスは考えました。)「もとい」と考え直して訂正します。「きれいなチョーカーですね、と言うべきだったかしら――いいえ、やっぱりベルト、じゃなくて――あらごめんなさい!」アリスはがっかりして付け加えました。ハンプティ・ダンプティはすっかり怒ってしまったようで、別の話題にすればよかったとアリスは後悔しはじめたのです。「まったく、どこが首でどこがウェストだかわかったらいいのに!」とアリスはこっそり考えました。 しばらく何も言わなかったものの、あきらかにハンプティ・ダンプティはとても怒っていました。そしてやっと再び口をきいたときにも、それは深いうなり声でした。 「まったく――なんと言ったらいいか――ベルトとチョーカーの区別もつかんとは――実に まったくもって ―― 不愉快なこと この上ない!」 「はい、もの知らずなのはわかってるんですけど」とアリスはじつにへりくだった調子で言ったので、ハンプティ・ダンプティも機嫌をなおしたようです。 「これはチョーカーだよ、お じょうちゃん。しかもその通り、非常に美しいものだね。白の王さまと女王さまからの贈り物なのだよ。どうだね!」 「まあ、そうなんですか」アリスは、やっぱりこれはいい話題を選んだとわかって、とてもうれしく思いました。 ハンプティ・ダンプティは、片ひざを反対のひざのうえにのせて、それをそれぞれの手でつかみました。そして、考え深そうに続けます。「お二人はこれをだね――非誕生日プレゼントとしてわたしに賜ったのであるのだ」 「あの、すみません」とアリスは、不思議そうに言いました。 「別に怒っちゃいないよ」とハンプティ・ダンプティ。 「そうじゃなくて、 いったい 非誕生日のプレゼントってなんなんですか?」 「お誕生日じゃないときにもらうプレゼントだよ、もちろん」 アリスはちょっと考えこみました。そしてやっと「あたしはお誕生日のプレゼントがいちばんいいな」と言いました。
|