アリスとしては、これに心底賛成はできませんでした。長い赤いナイトキャップをかぶって、王杓を持ち、みっともない山みたいに丸まってねっころがり、大いびきをかいているのです――それもトゥィードルダムが言ったように「頭がはずれそうなくらいの大いびき」です。 「湿った草の上に寝てるなんて、カゼひいちゃうんじゃないかしら」アリスはとても配慮のいきとどいた女の子だったので、こう申しました。 「夢を見てるんだよ。それで、なんの夢を見てると思う?」とトゥィードルディー。 アリスは答えます。「そんなのだれにもわかんないわ」 「いやぁ、 きみのこと だよ!」とトゥィードルディーは、勝ち誇ったように手を叩きながら叫びました。「そして王さまがきみのことを夢見るのをやめちゃったら、きみはどうなっちゃうと思う?」 「別にいまのままここにいるわよ、もちろん」とアリス。 「きみはちがうね!」とトゥィードルディーがバカにしたように切り返します。「きみはどこにもいなくなっちゃうんだよ。だってきみなんか、王さまの夢の中にしかいないモノじゃないか!」 「あそこにいるあの王さまが目をさましたら、きみは――ボーン!――ロウソクみたいに消えちゃうんだよ!」とトゥィードルダムがつけくわえます。 「消えるわけないでしょ!」アリスは怒って叫びました。「それにもし あたしが 王さまの夢の中にしかいないモノなら、そういう あなたたち はなんなのか、ぜひとも知りたいもんだわ!」 [イラスト: 夢見る赤の王さま] |