No.47

 「おひさまピカピカ海の上――

 ここでアリスは、思い切って口をはさみました。できるだけていねいに申します。「あの、それって ものすごく 長いんでしたら、まずは森から出る道を教えていただいて――」

 トゥィードルディーはやさしくほほえむと、最初から暗唱しなおしました。

「お日さまピカピカ海の上
力の限り照らしてる
波浪をすべすべキラキラに
するため全力つくしてた――
でもこれってなんか変
いまは夜のど真中。

お月様、ぷんぷん照らしてる
だってお日さまが昼間のあとで
そこらをウロウロするなんて
ずいぶんでしゃばりと思ったから――
曰く『なんとも失礼だこと
のこのこじゃましにくるなんて!』

海はとことんびしょぬれで
砂はとことん乾いてた。
雲一つ見あたらず、それというのも
空には雲がなかったから:
頭上を飛ぶ鳥もなし――
そもそも飛ぶ鳥なんかいないから。

[イラスト: 大工とセイウチ]

セイウチと大工が
肩を並べて歩いてた;
こんなにたくさんの砂を見て
二人はおいおい泣いていた:
『こいつさえきれいに掃除すりゃ
なんとも豪勢だろうになぁ!』

『女中七人にモップ七本
持たせて半年掃かせたら
きれいに片づけられると
思うかい』とたずねるセイウチに
『あやしいね』と大工は答え
辛苦の涙を流してる。

『おおカキ諸君、散歩しにおいで!』
とセイウチが差し招く。
『すてきな散歩、すてきな談笑
潮の浜辺に沿って
でも手を貸せるのは、
最高四匹までだよ』

最年長のカキ、セイウチをながめ
でも一言たりとも発しはしない。
最年長のカキはウィンクして
重い頭を横に振る――
カキ床を離れたり
する気はないよというつもり。

でも若いカキ四匹がいそいそと
大喜びで招待に応じ:
コートにブラシ、顔も洗い
くつもきれいにきっちりと――
でもこれってなんか変
だってカキには足がない。

 


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