No.3

無垢で曇りなき眉と

  不思議の夢見る瞳の子よ!

 時は駿く、我ときみとは

  半生の歳の差があろうとも

 きみの愛しきほほえみは確かに

  愛の贈り物たるおとぎ話を勝ち得るはず

 きみの輝かしい顔も見ず

  銀の笑いも耳にせず  

きみの若き人生の将来に

  我が思い出の居場所もないはず――

 でもいまのきみが、我がおとぎ話にさえ

  耳を傾けてくれれば十分

 別の日、夏の日差し輝く頃   始まりし物語

 ボートを漕ぐリズムに

  あわせた簡単なチャイム

 そのこだまがいまも記憶中に生きる

  ねたむ月日が「忘れよ」と言おうとも


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