しばらくの間、アリスは何も言わずに立って、この国の四方八方を見渡していました――そしてそれは、なんともへんてこな国ではありました。左右にまっすぐ、小さな小川がたくさん走っていて、小川の間の地面は、緑の茂みがいくつか小川から小川へと続いて、正方形に区切られています。 [イラスト: チェスの国] 「これって絶対、おっきなチェス盤みたいに仕切られてるわよね!」とアリスはやっと言いました。「駒がどこかで動いてそうなものだわ――ほーらあそこにいるじゃない!」とアリスは大喜びで付け加え、そしてしゃべりながらもわくわくしてきて、心臓がドキドキしてきます。「すごくおっきなチェスの試合をやってるんだわ――世界中で――もしこれが そもそも 世界ならの話だけどね。すごく楽しいじゃない? ああ、 あたしも あの中の一人だったらなぁ! 試合に入れるなら、ポーンでもいいや――でももちろん、女王さま(クイーン)に なれるものなら 、それがいちばんいいですけど」 そういいながら、アリスはちょっともじもじして、本物の女王さまのほうをチラリと見ましたが、連れはにこやかに笑ってこう言っただけでした。「それくらいならおやすいご用だとも。おまえさえよければ、白の女王のポーンになるといい、リリーはまだ試合には小さすぎるから。そしておまえは、そもそも二升目にいるわけだね。八升目についたら、おまえも女王(クイーン)になれる――」まさにそのしゅんかんに、二人は走りだしました。 |