No.73

 「してこやつらはだれじゃ?」と女王さまは、バラの木のまわりにはらばいになっている庭師たちを指さしました。というのも、顔を下にしてはいつくばっていたし、せなかのもようはみんないっしょなので、女王さまはそれが庭師か、兵隊さんか、廷臣(ていしん)たちか、それとも自分の子どものうち三名なのか、わからなかったのです。

 「あたしにわかるわけないでしょう」アリスはこう言って、自分のゆうきにわれながらびっくりしました。「あたしにはかんけいないことですから」

 女王さまは怒ってまっ赤になり、そして野獣みたいにしばらくアリスをにらみつけてから、ぜっきょうしました。「こやつの首をちょん切れ! こやつの――」

 「ばかおっしゃい!」とアリスは、とても大声できっぱりと言いまして、すると女王さまはだまってしまいました。

 王さまが手を女王さまのうでにかけて、びくびくしながら言います。「まあまあ、まだ子どもじゃないか!」

 女王さまは怒って王さまからはなれ、ジャックにいいました。「こやつらをひっくりかえせ!」

 ジャックはとてもしんちょうに、片足でそうしました。

 「立て!」と女王さまが、かんだかい大声で言うと、庭師三名はすぐにとびおきて、王様と、女王さまと、お子たちと、そのほかみんなにぺこぺこおじぎをはじめました。

 「やめんか! めまいがする!」と女王さまがどなります。そしてバラの木のほうを見てつづけました。「ここでいったいなにをしておった?」

 「おそれながらもうしあげますと、女王陛下どの」と二がとてもつつましく、片ひざをついて言いました。「てまえどもがしており――」

 「なるほど!」女王さまは、その間にバラの木を調べておりました。「こやつらの首をちょん切れ!」そして行列がまたうごきだしましたが、兵隊さんが三名のこって、かわいそうな庭師たちの首をはねようとしますので、庭師たちはアリスに助けをもとめてかけよってきました。


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