No.51


 たしかにそうです、まちがいなく。でもアリスは、そんなこといわれたくありませんでした。「まったく頭にきちゃうわよね、この生き物たちが口ごたえするのって。キチガイになっちゃいそうよ」

 召使い(めしつかい)は、このすきに、さっきのせりふをちょっと変えてくりかえそうと思ったようです。「あたしゃここにすわってるわぁ、ずっとずっと、何日も何日もぉ」

 「でもあたしはどうすればいいの?」とアリス。

 「お好きなように」と召使い(めしつかい)は口ぶえをふきはじめました。

 「ああ、こんなのと話をしててもしょうがないわ」とアリスはぜつぼうして言いました。「完全なバカじゃないの!」そしてとびらをあけるとなかに入っていきました。

 とびらはすぐに大きな台所につづいていて、そこははしからはしまでけむりまみれでした。公爵夫人はまん中にある三きゃくいすにすわって、赤ちゃんをあやしています。コックは火の上にかがみこんで、スープでいっぱいらしいおっきなおなべをかきまぜています。

 「たしかにあのスープはコショウ入れすぎ」とアリスはつぶやきました。くしゃみをしながらつぶやくのもたいへんです。

 それが空気にたくさんまじりすぎているのはたしかでした。公爵夫人でさえ、ときどきくしゃみをしています。そして赤ちゃんときたら、ちょっとも間をおかずに、くしゃみ、なき、わめきをくりかえしているのでした。台所でくしゃみをしないのは、コックと、ろばたにすわっているおっきなねこだけでした。ねこは、耳から耳までとどくくらいニヤニヤしています。


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