No.9
アラジンのお母さんは、このおばけを見た時、こわさのあまり気をうしなってしまいました。アラジンは、すぐお母さんの手からランプを引ったくりました。そしてふるえながら、自分の手に持っていました。
「ほんの少しでもいいから、たべるものを持っておいで。」
アラジンは、やっぱりふるえながら、こう言いました。おそろしいおばけが、やっぱり天じょうからにらみつけていたものですから。が、その時、ランプの家来は、しゅっとけむりを立てて消えてゆきました。けれども、またすぐに、金のお 皿 ( さら ) の上に上等のごちそうをのせて、あらわれて来ました。
この時、アラジンのお母さんは、やっと気がつきました。けれども、このごちそうをたべるのを、大へんこわがりました。そして、すぐにランプを売ってくれと、アラジンにたのみました。あのおばけが、きっと何か悪いことをするにちがいないと考えたものですから。けれどもアラジンは、お母さんのこわがっているのを笑いました。そして、この まほう のランプと、ふしぎな 指輪 ( ゆびわ ) の使い方がわかったから、これからは、この二つをうまく使って、くらしむきのたすけにしようと思う、と言いました。
二人は金のお皿を売って、ほしいと思っていたお金を手に入れました。そして、それをみんな使ってしまった時、アラジンはランプのおばけに、もっと持って来いと言いつけました。こうして、親子は何年も何年も楽しくくらしていました。
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