No.26
これをお聞きになってお姫さまは、何だか急に、この大広間がものたりないように思いはじめになりました。そして、アラジンが入って来た時、大へん悲しそうな顔をしていらっしゃいました。アラジンは、何事が起ったのですか、とたずねました。お姫さまは、
「私、この天じょうから、ロック鳥の卵がぶらさがっていなきゃあ、何だか悲しいんですもの。」と、おっしゃいました。
「そんなことなら、ぞうさないじゃございませんか。」と、アラジンはこともなげに言ってランプをおろして、 廊下 ( ろうか ) へ出てあのおばけを呼びました。
けれども、ランプのおばけは、その命令を聞くと、大へんおこりました。顔をぶるぶるふるわせながら、アラジンをしかりつけました。
「大ばか者、そんなものを私がやられると思っているのか。お前は私のご主人を殺して、あの天じょうからぶらさげてくれというのか。そんなばかは、死んでしまうがいいや。」
おばけの目は、まるで石炭がもえている時のように、まっ赤になっていました。しかし、やがて言葉をやわらげて、
「だけれども、それはお前の心から出た願いでないということを、私はよーっく知っているのだよ。それは 尼 ( あま ) さんの風をしている、悪者のまほう使が言わせたのだろう。」
と、言いました。そして、おばけは消えました。アラジンは、お姫さまが待っているへやへ、いそいで行きました。そして、
「私は、ずつうがしてなりません。尼さんを呼んでくださいませんか。あの方のお手でさすっていただいたら、きっとなおるだろうと思います。」と、お姫さまに申しました。
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