No.2
さて、ある日、アラジンが、いつものように、町のなまけ者と一しょに、 めんこ をして遊んでいました。ところがそこへ、いつのまにか 背 ( せい ) の高い、色の黒いおじいさんがやって来て、じっとアラジンを見つめていました。やがて、めんこが一しょうぶ終った時、そのおじいさんがアラジンに「おいで、おいで」をしました。そして、
「お前の名は何と言うのかね。」と、たずねました。この人は大へんしんせつそうなふうをしていましたが、ほんとうは、アフリカの まほう 使でした。
「私の名はアラジンです。」
アラジンは、いったい、このおじいさんはだれだろうと思いながら、こう答えました。
「それから、お前のお父さんの名は。」また、まほう使が聞きました。
「お父さんの名はムスタフと言って、仕立屋でした。でも、とっくの昔に死にましたよ。」
と、アラジンは答えました。すると、この悪者のまほう使は、
「ああ、それは私の弟だ。お前は、まあ、私の 甥 ( おい ) だったんだね。私は、しばらく外国へ行っていた、お前の 伯父 ( おじ ) さんなんだよ。」
と言って、いきなりアラジンをだきしめました。そして、
「早く家へ帰って、お母さんに、私が会いに行きますから、と言っておくれ。それから、ほんの少しですが、と言って、これをあげておくれ。」と言って、アラジンの手に、 金貨 ( きんか ) を五枚にぎらせました。
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