こういう次第で、キャピュレット卿が開いた宴会に、若いロミオはベンヴォリオと、2人の共通の友人であるマーキューシオといっしょに、仮面をつけて出席した。老キャピュレットは彼らを歓迎した。足の指にまめができて困っている女性でもなければ、きっとあなた方と踊ろうとするでしょうな、と言った。老人は楽天的で愉快な人だった。自分も若いときは仮面をつけたものだ、美人とひそひそ話だってやれたもんだ、と言うのだった。 一同は踊り始めた。突然ロミオは、そこで踊っている、並はずれて美しい娘に目を奪われた。ロミオには、その人がたいまつに明るく燃えるよう教えているかに見えた。その美しさは、黒人が身につけている宝石のように、夜のやみのなかで際立っていた。その美しさは、費やすにはあまりに豪奢《ごうしゃ》で、地上におくにはあまりに高貴すぎた! からすに混じった雪のように白い鳩(とロミオは言った)、そう思えるくらい、彼女の美しさは完璧であり、一座の娘たちから抜きんでて輝いていた。
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