No.27

 この毒薬を持って、ロミオはヴェロナ目指して旅立った。墓の中にいる、愛しい人を一目見て、死んだということを納得した上で、毒薬を飲んで、彼女のそばに埋葬されようと考えたのだった。

 ロミオは真夜中にヴェロナへ着いた。そして墓地を見つけた。その中央に、キャピュレット家の先祖代々の墓があった。ロミオは明かりとくわとかなてこを用意し、墓をこじ開けようと作業をはじめた。そのとき、「悪党モンタギュー」と呼ぶ声がし、その背徳行為をやめろと言われたのだった。

 それは若いパリス伯の声だった。パリスは時はずれの夜中にジュリエットの墓にやってきて、わが花嫁となるはずだった人の墓に花をまき、嘆こうとしたのだった。パリス伯にはロミオが死人に対してどんな関係があるのか分からなかった。ただ、ロミオがモンタギュー家の人であることは知っていたので、(彼の想像では)キャピュレット家にとって許すべからざる敵ということになっていた。パリス伯は、ロミオが夜にまぎれてここに来たのを、死体に下劣な凌辱《りょうじょく》を加えようとしているのだと思いこんでしまった。それゆえ、怒ってやめろと命じたのである。

 ロミオはヴェロナの城壁内で発見されれば死刑となるべき罪人だったから、パリス伯はロミオを逮捕するつもりだった。ロミオはパリスに手出しをするなと言い、そこに埋められているティバルトの最後を見たまえと警告し、自分を怒らせないでくれ、あなたを殺すことで、再び我が身に罪を招くようなことはしたくないのだ、と言った。しかし、伯爵は軽蔑を持って警告を無視し、重罪人としてロミオに手をかけた。ロミオは抵抗し、格闘となった。パリスは倒れた。

 


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