No.24

「色はどうでもいいけど、花びらをもうちょっとカールさせたら、ずっとよくな るわよね、この子は」とオニユリも言いました。  アリスはあれこれ品定めされるのがいやだったので、こちらから質問をすること にしました。

「こんなところに植わって、だれにもめんどう見てもらえないで、と きどきこわくなったりしませんか?」  「まん中に木があるでしょうに。あれがなんのためにいると思ってんの?」とバ ラ。  「でもなにか危険が迫っても、木に何ができるの?」とアリスはたずねます。  「『木をつけろー』って言うにきまってるでしょ! だから木って 言うんじゃな いのよ!」とヒナギクが叫びました。

 「そんなことも知らなかったの?」と別のヒナギクが叫び、そこでヒナギクども はいっせいに叫びだしまして、空中が小さな金切り声まみれになったかのようでし た。「おだまんなさい、あんたたちみんな!」とオニユリは、顔をまっ赤にして身 を左右にゆすり、興奮でふるえています。

「こっちが捕まえられないのを知ってる もんだから!」と、オニユリは息をきらして、ふるえる頭をアリスのほうにまげま す。

「さもなきゃ、絶対にあんな口はきけないはずよ!」

 「ご心配なく!」とアリスはさわやかに言うと、またもやしゃべりだしたヒナギ クの上に身をかがめてささやきました。

「だまんないと、摘んじゃうわよ!」


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