No.9

 けがはぜんぜんなくて、すぐにとび起きました。
見上げても、頭上はずっとまっ暗。目の前にはまた長い通路があって、まだ白うさぎがその通路をあわてて走っていくのが見えました。これは一刻もむだにできません。アリスはびゅーんと風のようにかけだして、ちょうどうさぎがかどを曲がりしなに
「やれ耳やらヒゲやら、こんなにおそくなっちゃって!」
と言うのが聞こえました。そのかどをアリスが曲がったときには、かなり追いついていました。が、うさぎがどこにも見あたりません。そこは長くて天井のひくいろうかで、屋根からランプが一列にぶら下がって明るくなっていました。

 そのろうかはとびらだらけでしたが、どれも鍵がかかっています。アリスは、ろうかの片側をずっとたどって、それからずっともどってきて、とびらをぜんぶためしてみました。どれも開かないので、アリスはろうかのまん中をしょんぼり歩いて、いったいどうやってここから出ましょうか、と思案するのでした。


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