にせウミガメはふかいためいきをついて、ひれの一つで目をおおいました。そしてアリスを見て話そうとするのですが、そのたびにすすり泣きがでて、一分かそこらは声がでません。「のどに骨がつかえたときといっしょだよ」とグリフォンは、にせウミガメをゆすったり、背中をたたいたりしはじめました。やっとにせウミガメは声が出るようになって、ほっぺに涙をながしながら、またつづけました。 「あなた、海のそこにはあんまり住んだことがないかもしれないし――」(「ないわ」とアリス)――「あとロブスターに紹介されたこともないようねぇ――」(アリスは「まえに食べたことは――」と言いかけて、すぐに気がついて、「いいえ一度も」ともうしました)「――だから、ロブスターのカドリーユおどりがどんなにすてきか、もう見当もつくわけないわね!」 「ええ、ぜんぜん。どういうおどりなんですか?」とアリス。 グリフォンがいいました。「まず海岸にそって、一列になるだろ――」 「二列よ!」とにせウミガメ。「アザラシ、ウミガメ、シャケなんか。それでクラゲをぜんぶどかしてから――」 「これがえらく時間をくうんだ」とグリフォンが口をはさみます。 「――二回すすんで――」 「それぞれロブスターがパートナーね!」とグリフォンもわめきます。 「もちろん。二回すすんで、パートナーについて――」 「――ロブスターを替えて、同じように下がる」とグリフォンがつづけます。 そしてにせウミガメ。「そしたら、ほら、ロブスターを――」 「ほうりなげる!」とグリフォンがどなって、宙にとびあがりました。 「――沖へおもいっきり――」 「あとを追っかけて泳いで!」とグリフォンぜっきょう。
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