No.86

 

-訳者の説明-
これはむかしのお話なので、学校はいまとちょっとちがう。いまはみんな学校にいくけれど、むかしはお金持ちしか学校になんかいかなかったんだ。だから学校にいった、というのはけっこうじまんできることだったんだよ。
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 「追加で選べる科目もあった?」とにせウミガメはちょっと不安そうにききます。

 「ええ。フランス語と音楽」

 「せんたくも?」とにせウミガメ。

 「あるわけないでしょう!」アリスはプンプンして言いました。

 「ああ、じゃああなたのは、ほんとのいい学校じゃなかったのよ」とにせウミガメは、すごくほっとしたような口ぶりです。「だってうちの学校では、請求書の最後んとこに『フランス語、音楽、およびせんたく――追加』ってあったもの」


-訳者の説明-
イギリスの学校は私立ばっかりで、毎月かそこら、学校から授業料の請求書がくるのがあたりまえだったわけ。それで、それは科目ごとにお金がとられるようになっていて、フランス語とか、音楽は、追加でお金をはらわなきゃダメだったんだよ。いまの塾(じゅく)みたいなものだと思ってね。
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 ついでに言っておくと、せんたくが追加料金なのは、別にせんたくという授業があるからじゃなくて、生徒がずっと学校に寝泊まりする寄宿学校では、洗濯物を学校におねがいすることができたということ。だから請求書には、ほんとうに「せんたく」というのはあったんだけれど、でもそれは授業じゃあないんだ。

 「でもおせんたくなんてあんまりいらないでしょう。だって海のそこに住んでるんだもん」

 「だから選べたのよ、これがホントのせんたく科目。でもうちはお金がなくて、せんたくはとれなかったのよ。ふつう科目だけ」とにせウミガメは、ためいきまじりで言います。

 「ふつう科目って?」とアリス。


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