No.83

 「いいえ。にせウミガメってなんなのかも知りません」

 「にせウミガメスープの材料になるものじゃ」と女王さま。

 「見たことも、きいたこともございません」とアリス。

 「ではおいで。あやつが身の上話をしてくれるであろう」

 二人がつれだって歩き出すと、王さまが小さな声でそこにいた全員にむかって、こうもうしわたすのが聞こえました。「みなの者、刑(けい)は免除(めんじょ)してつかわす」

 「わーい、それはすてき!」とアリスは思いました。女王さまが命じた処刑(しょけい)が多すぎて、ずいぶんいやーな気持ちだったからです」

 まもなく、二人はグリフォンに出くわしました。ひなたぼっこをしながら、ぐっすりねむっています(もしグリフォンってなんだか知らなかったら、イラストを見てね。) 起きんか、このぐうたらめが!」と女王はもうします。「このわかいご婦人をつれて、にせウミガメのところであやつの身の上話をきかせてやるのじゃ。わしはもどって、めいじた処刑(しょけい)をいくつか監督せねばならんのでな」そして歩みさって、アリスとグリフォンは二人きりになりました。アリスは、この生き物のようすがあんまり気に入りませんでしたが、いろいろ考えても、あの荒(あら)っぽい女王さまについてくよりは、グリフォンといっしょのほうが安全だろうと思いました。


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