No.6

 うさぎの穴は、しばらくはトンネルみたいにまっすぐつづいて、それからいきなりズドンと下におりていました。それがすごくいきなりで、アリスがとまろうとか思うひまもあればこそ、気がつくとなにやら深い井戸みたいなところを落っこちているところでした。

 井戸がとっても深かったのか、それともアリスの落ちかたがゆっくりだったのかもしれません。だってアリスは落ちながら、まわりを見まわして、これからどうなっちゃうんだろうと考えるだけの時間がたっぷりあったからです。まずは下をながめて、どこに向かおうとしているのかを見きわめようとしました。でも暗すぎてなにも見えません。それから井戸の横のかべを見てみました。するとそこは、食器だなと本だなだらけでした。あちこちに、地図や絵がとめ金に引っかけてあります。アリスは通りすがりに、たなの一つからびんを手にとってみました。「マーマレード」というラベルがはってあります。が、空っぽだったので、とてもがっかりしてしまいました。下にいる人を殺したくはなかったので、びんを落とすのはいやでした。だから落ちる通りすがりに、なんとか別の食器だなにそれを置きました。

 アリスは思いました。「でもこんなに落ちたあとなら、もう階段をころげ落ちるなんて、なんとも思わないわよ! おうちじゃみんな、あたしがすごく勇敢(ゆうかん)だと思うでしょうね! ええ、おうちのてっぺんから落っこちたって、もう一言も文句を言わないはずよ」(そりゃまあそのとおりでしょうけど)

 


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