No.23

 「はい、ぜったいに!」とアリスは、あわてて話題を変えようとしました。「それなら、もしかすると――犬――はお好き――かしら?」ネズミは返事をしなかったので、アリスは熱心につづけました。「うちの近くには、すごくかわいい小さな犬がいるんですよ、もうお目にかけたいくらい! 小さくて目のきれいなテリアなんです、それも、すごく長くてクルクルした毛をしてて! それでものを投げるととってくるし、ごはんのときにはおすわりしておねがいするし、いろんな芸もして――半分も思い出せないんですけど――そしてそれを飼ってるのがお百姓さんで、その人の話だととってもちょうほうしてるんですって。百ポンドの値打ちがあるそうよ! だってネズミをみんな殺すし、それに――あらどうしましょ!」とアリスはかなしそうな声でさけびました。「また怒らせちゃったみたい!」というのもネズミは、おもいっきりアリスから遠くへ泳ごうとしていて、おかげで池にはかなりの波がたっていました。

 そこでアリスは、やさしくよびかけてみました。「ねえねずみさん、おねがいだからもどってらして。おきらいでしたら、ねこの話もイヌの話もしませんから!」ネズミはこれをきいて、くるりと向きをかえてゆっくりこっちに泳いできました。顔はかなりまっさおです(怒ったのね、とアリスは思いました)。そしてひくいふるえる声で言いました。「岸にたどりつこう、そうしたらぼくの話をしてあげよう。なぜねこや犬がきらいなのか、それでわかるだろう」

 そしてちょうどそこを出るころあいでもありました。池には鳥や動物がどんどんはまってきて、すごくこんできたからです。アヒルにドードー、インコに子ワシ、そしてその他めずらしい生き物がいくつか。アリスがせんとうにたって、一同みんな、岸におよぎつきました。

 


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