その小さなとびらのところで待っていてもしかたないので、アリスはテーブルのところに戻りました。別の鍵がのってたりしないかな、となかば期待していたのです。あるいは少なくとも、望遠鏡みたいにちぢまるやりかたを書いた、規則の本でもないかな、と思いました。するとこんどは、小さなびんがのっかっていて(「これってさっきはぜったいになかったわよねえ」とアリスは言いました)、そしてびんの首のところには紙のふだがついていて、そこに「のんで」ということばが、おっきな字できれいに印刷されていました。 「のんで」は結構なのですけれど、でもかしこいアリスは、そんなことをあわててするような子ではありません。「いいえ、まずちゃんと見てみようっと。『毒』とか書いてないかどうか、たしかめるんだ」とアリス。というのも、お友だちに教わったかんたんな規則をまもらなかったばっかりに、やけどをしたり、野獣に食べられちゃったりした子供たちについて、すてきなお話をいくつか読んだことがあったからです。そういう規則というのは、たとえばまっ赤にやけた火かき棒をあんまり長くにぎっているとやけどをするよ、とか、指をナイフでとぉってもふかく切っちゃったら、たぶん血が出てくるよ、とかですね。そして『毒』と書いてあるびんの中身をたくさんのんだら、たぶんまちがいなく、いずれ困ったことになるよ、というのも、アリスはぜったいにわすれなかったのでした。
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